事業主には、従業員を雇用する際に労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が義務付けられています。労働保険は従業員の生活の立場を守る大切な制度です。労災保険は業務上の災害からの救済、雇用保険は失業した場合の給付を目的としています。
労働保険料は毎年6月1日を更新日として、前年度の実績に基づき算定・申告・納付する必要があります。
こちらでは労働保険の年度更新において、保険料の算定・申告・納付手続きを確実に行うためのポイントや注意点をまとめています。船橋市の事業主の皆さまに役立つ情報を提供いたしますので、ぜひご一読ください。
労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険のことを指します。
通勤中や勤務中に起因するケガや病気、死亡などに対する保険給付
労働者が失業した際などの給付。一定の条件(労働時間が週20時間以上など)を満たす労働者がいる場合に対象となる。
労働者を1人でも雇用する場合、労働保険への加入が義務付けられています。
労働保険料は、労働者に1年間で支払う賃金総額に保険料率をかけて算出されます。労災保険の保険料率は事業の種類により異なり、1,000分の2.5から1,000分の88まであり、危険度の高い業種ほど保険料率が高くなります。労災保険料は全額事業主が負担します。一方、雇用保険料は事業主と労働者(被保険者)の両方が負担し、事業の種類によって保険料率とそれぞれの負担割合が定められています。
労働保険では、毎年4月1日から3月31日までの1年間を「保険年度」とし、その年度の保険料を概算で納付していただいたうえで、保険年度末に賃金総額が確定した後に精算を行う必要があります。つまり、事業主は以下の2点の手続きが必要となるのです。
この2つの手続きを「年度更新」と呼びます。年度更新は6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。遅れると政府が保険料・拠出金の額を決定し、追徴金(10%)も課されることがあるので注意が必要です。
労働保険の年度更新の手続きは主に以下の流れとなります。
5月下旬頃に、管轄の都道府県労働局から以下の書類一式が事業所に送付されます。
確定保険料などの計算の基礎となる前年度の賃金総額を、労働者区分ごとに集計します。厚生労働省の「年度更新申告書計算支援ツール」を利用すると便利です。
賃金集計表をもとに、申告書の所定欄に以下を転記します。
そのうえで、「期別納付額」欄で労災保険料と雇用保険料を合算し、今期の納付総額を算出します。
以下の場所で申告書を提出し、保険料を納付します。
保険料は一括納付が原則ですが、概算保険料が40万円以上の場合は3回の分割納付(延納)が可能です。口座振替を利用する場合は、申告書を労働局などに提出する必要があります。
以上が年度更新の一般的な手続きの流れとなります。記入ミスや遅延などのトラブルを防ぐため、関係書類を熟読し、わからない点は労働局に確認するなどして、適切に対応することが重要です。
労働保険の年度更新は、従来の書面での申告に加え、近年では電子申請による手続きも可能となっています。電子申請を活用することで、移動時間の削減や24時間いつでも申請できるなどのメリットがあります。
電子申請には、e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用する方法と、市販の電子申請ソフトや労務管理システムを活用する方法があります。e-Govを利用する場合は、パソコンと電子証明書が必要となります。手順としては、まずe-Govで「労働保険年度更新申告」を検索し、必要事項を入力して電子証明書のデータを保管、その後データを送信し、保険料をインターネットバンキングで納付します。
一方、市販の電子申請ツールを活用する場合は、クラウド技術を背景に、オンラインでの手続きが可能です。テレワークが広がる中で、こうしたデジタルツールの需要が高まっています。電子申請ツールを導入することで、書面での手続きに比べ、業務効率が大幅に向上するメリットがあります。
このように労働保険の年度更新では、従来の書面申告に加え、電子申請による効率的な手続きが選択できるようになってきました。企業においては、自社の事情に合わせて最適な方法を検討することが重要です。
労働保険の年度更新は、適切に行わないと様々なリスクが生じる可能性があります。そこで、以下の3点に注意する必要があります。
労働保険料は賃金総額を基に算出されるため、賃金に該当する報酬と該当しない支払いを正しく区分することが重要です。給与・賞与・手当などは賃金に含まれますが、役員報酬・災害見舞金・出張旅費などは含まれません。賃金の種類を誤ると、保険料の計算が間違ってしまう可能性があります。
2020年4月1日以降、65歳以上の高年齢従業員も雇用保険料を納める必要があります。これまでは適用除外または保険料免除となっていましたが、年度更新時には高齢者も雇用保険の対象として適切に手続きを行う必要があります。
年度更新の手続き期間は6月1日から7月10日までと定められています。
労働保険の年度更新は、従業員と事業主の双方に影響する重要な手続きです。上記の3点に細心の注意を払い、適正な申告と納付を行うことで、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。専門家に相談するなど、万全の体制を整えましょう。
労働保険の年度更新業務は複雑で、計算ミスなどのトラブルを避けるために、社会保険労務士や労働保険の専門家に外部委託することをおすすめします。
労働保険の年度更新手続きは、計算ミスや申告漏れがあると追徴金などの支払いが発生するため、慎重な対応が求められます。
そのため、専門知識を有する社会保険労務士などに年度更新業務を外部委託することで、ミスのリスクを低減し、事務負担の軽減も図れます。外部委託のメリットは以下のとおりです。
経験豊富な専門家に依頼することで、専門的な知識と経験に基づいた正確な対応が期待でき、計算ミスや申告漏れなどのリスクを大幅に低減することができます。
船橋市周辺で労働保険の年度更新についてお困りなら、東葉社会保険労務士法人へご相談ください。社会保険労務士による労働保険・社会保険諸手続きのサポートを行っております。親切丁寧な対応でお客様の不安や疑問を解消いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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