社内ルールブック作成が必要な理由と作成のポイントを解説

社内ルールブック作成が必要な理由とは?作成のポイントもわかりやすく解説

企業が健全に発展していくためには、組織内のルールを明確に定め、全従業員に周知徹底することが不可欠です。社内ルールブック(当法人では職員ハンドブックと呼称)とは、会社の方針や期待される行動規範を文書化したものであり、従業員が守るべき基本ルールを網羅しています。

近年、企業の不祥事が後を絶たず、コンプライアンス経営の重要性が高まる中、社内ルールブックの存在価値は一層高まっています。こちらでは、実効性の高い社内ルールブックを作成するためのポイントを解説します。

社内ルールブックとは?作成が必要な理由

社会保険労務士が関わる企業の人事・労務管理業務

社内ルールブック(職員ハンドブック)とは

社内ルールブック(職員ハンドブック)とは、会社が従業員に対して期待する行動規範や、守るべき基本的なルールを文書化したものです。企業理念や経営方針、就業規則などに基づき、以下のような項目が網羅されています。

項目例 内容
基本原則 労務提供義務、誠実勤務義務に言及した基本原則
服務規程 勤務時間、休暇、旅費など就業に関する規程
情報管理 個人情報・機密情報の取り扱いに関するルール
ハラスメント防止 セクハラ・パワハラの防止とその対処方法
コンプライアンス 法令遵守、贈収賄の禁止など企業倫理
安全衛生 災害対策、労働安全衛生に関する規程

これらの項目について、具体的な事例を挙げながら、従業員が理解しやすい平易な言葉で説明することが大切です。ルールを守ることで生じるメリットや違反した場合の懲戒処分なども明記し、従業員がルールを守る動機付けとなるよう努めましょう。

社内ルールブック作成が必要な理由

社内ルールブックは、以下の3つの理由から会社に必要不可欠なものです。

会社の一貫したルール運用を実現

社内ルールブックを策定することで、会社として一貫したルール運用を実現できます。具体的には以下の点が挙げられます。

  • 平易な言葉で全社員が同じルールを共有できる
  • 上長と部下の間で認識のズレがなくなる
  • 特定部署や個人の裁量で運用が左右されない

例えば、以下のようなケースが考えられます。

課題 ルールブックがない場合 ルールブックがある場合
残業時間の上限 上限があること自体を上司が理解していない 会社として統一されたルールが理解されている
服装規程 上長の個人的感覚で判断 明確な基準があり統一された運用

このように、社内ルールブックを策定することで、会社の方針を全社員に明示し、ルール運用を一貫させることができます。ルールの解釈や運用が個人や部署によって異なることを防ぎ、公平性と一貫性を担保できるのです。

トラブル防止と健全な職場環境の醸成

社内ルールブックは、様々なトラブルを未然に防ぎ、健全な職場環境を醸成するうえで重要な役割を果たします。以下のようなリスクに対処することができます。

  • ハラスメントの発生防止
  • 個人情報・機密情報の漏洩防止
  • 安全衛生上の事故防止
  • コンプライアンス違反のリスク低減

このように、社内ルールブックには従業員一人ひとりが遵守すべき具体的な行動基準が明記されており、これを周知徹底することで、様々なトラブルを防ぎ、快適で生産性の高い職場環境を実現することができます。

社員の行動指針となり業務の効率化に寄与

社内ルールブックは、従業員一人ひとりの行動指針として機能します。ルールを理解・実践することで、次のようなメリットが期待できます。

  • 業務の標準化が進み、手順の統一化により効率が向上
  • 規程に基づいた適切な判断ができ、ミスや事故を防止
  • 企業の方針を共有でき、目標達成に向けた協力体制が整う

例えば、以下のようなルールがあると仮定します。

カテゴリ ルール例
情報管理 個人情報は厳重に取り扱う
ビジネスマナー 電話応対では丁寧な言葉遣いを心がける
コンプライアンス 関係法令を遵守し違反行為は慎む

従業員一人ひとりがこうしたルールを正しく実践することで、業務の質が高まり、効率的な職場環境が実現できるのです。

社内ルールブック作成のポイント

社内ルールブック作成のポイント

経営理念・行動指針の明確化

社内ルールブックの冒頭には、会社の経営理念や行動指針を明確に示すことが重要です。経営理念とは企業が目指す存在意義や価値観であり、行動指針とは社員一人ひとりが実践すべき行動規範です。これらを明文化することで、全社員が会社の目指す方向性を共有できます。

労働契約の基本原則と法令遵守の徹底

労働契約の基本原則は、賃金支払い義務と労務提供義務の交換です。労務提供は、その本旨に従って誠実に行わなければならず、従業員には職務専念義務が課されます。近年、労働者の権利が広く知られるようになった一方で、本来労働者に課せられる義務については、忘れられるか、おろそかにされているように思えます。社内ルールブックには、労働者に対して、課せられた義務を明確にして伝える効果もあります。

また、各種法令の改正があれば、速やかに社内ルールブックを見直し、従業員への周知と理解促進を図る必要があります。法令遵守は企業の健全な経営と発展につながるため、社内ルールブックにおいて最重要事項として位置付けることが肝要です。

平易でわかりやすい文章

社内ルールブックは全ての社員が読み、理解することが求められるため、平易でわかりやすい文章で書かれていることが重要です。専門用語や難解な表現は避け、一般的な言葉遣いを心がけましょう。

また、説明が長くなる場合は、箇条書きやイラスト・図表を活用して視覚的にわかりやすくすることも有効です。具体例を挙げることで、より理解が深まります。

社内ルールブックは社員に広く浸透することが期待されています。そのため、なるべく簡潔で平易な言葉を使い、わかりやすい文章を心がけることが求められます。

具体例の多用

社内ルールブックは、社員一人ひとりが理解しやすいよう、具体的な事例を豊富に盛り込むことが重要です。抽象的な説明だけではわかりにくく、現場で実際に起こりうる状況を想定した例示を交えることで、より実践的な内容となります。

例えば、情報セキュリティに関するルールを定める際には、以下のような具体例を挙げるとよいでしょう。

ポータブルHDDの社外持ち出し

個人情報などの重要データを含む場合は、事前に上長の許可を得る

USBメモリの私的利用

プライベート用のファイル保存に利用しない

メールの取り扱い

業務外の個人的なメールの送受信は控える

このように具体例を示すことで、該当ルールの趣旨や目的がよりイメージしやすくなります。また、例外事例についても併せて記載し、ルールの範囲をできる限り明確にすることが大切です。

関係者への周知・研修

社内ルールブックを作成しただけでは意味がありません。ルールの内容を全従業員へ適切に周知し、理解を深めることが不可欠です。

また、単に周知するだけでなく、理解度確認のための定期的なフォローアップも重要です。例えば、年1回の試験やアンケートを実施するなどして、従業員の理解度を把握し、必要に応じて再研修を行うことが望ましいでしょう。

ルールを徹底するには、経営陣の強いリーダーシップと継続的な取り組みが不可欠です。周知・研修を怠れば、ルール無視につながるおそれがあり、結果としてトラブルリスクが高まります。適切な周知と理解促進を図ることで、社内ルールブックの本来の目的を達成できるのです。

定期的な見直し

社内ルールブックは、企業を取り巻く環境の変化に応じて、適宜見直しを行うことが重要です。例えば、以下のような場合には内容の更新が求められます。

見直しのタイミング 内容
法令改正時 新しい法令に則した規程への変更
業務プロセス変更時 新しい業務フローに合わせた規程の修正
不備発覚時 不明確な表現の解消や抜け落ちた事項の追記

このように、社内ルールブックは経営環境の変化に合わせて常に最新の状態を保つ必要があります。そのため、定期的な見直し体制を構築し、PDCAサイクルを確立することをおすすめします。

例えば、年に1回は社内ルールブックの内容を全面的に見直し、必要に応じて改訂を行うなどの取り組みが考えられます。併せて、社員への周知徹底を図ることも重要になります。このように、定期的な見直しを実施することで、社内ルールブックを最新の状態に保ち、その実効性を高めることができるのです。

船橋市周辺で社内ルールブック作成・就業規則について社会保険労務士に相談するなら、東葉社会保険労務士法人をご利用ください。親切丁寧な対応で、お客様の不安や疑問を解消いたします。

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